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マサラの車窓から
台所から始まる、平和への一歩
アナン店主・バラッツが、さまざまな分野で活躍するゲストを迎えるコーナー「マサラの車窓から」。第3回は、長崎県対馬市でジビエ事業に取り組む一般社団法人 dai の代表理事・齊藤もえこさんに話を聞きました。
バラッツジビエにあまり馴染みがない人に向けて、簡単にその特徴や魅力を教えていただけますか?
齊藤ジビエとは、食肉処理されたシカやイノシシなどの野生鳥獣のお肉のことを指します。特徴のひとつは、季節や部位によって美味しい食べ方が異なる点にあります。脂の少ない夏の時期や、ヤセた部位はブロック肉には向かないですが、ミンチにすると肉感がしっかりと残るので、キーマカレーなどに最適なんです。そうやって、いろいろなジビエの食べ方が広まり、料理をする人が増えることが何より重要だと考えています。台所に立つ人が増えない限り、ジビエの消費量は増えていきませんから。
バラッツ私の祖父が生前、「政治家がキッチンに立てば、世界の多くの問題は解決する」と話していました。それだけ料理は身近な問題を知り、世界の景色を変える行為なんだと思います。そしてスパイスは、地域の食材に新たな食べ方をもたらすだけでなく、遠い世界とつながるきっかけにもなる。今回、ジビエ用の対馬スパイス「BOAR」には、モロッコや中東、スペイン南部のエッセンスを取り入れたのですが、スパイスを通じて遠い土地の人や文化との距離が縮まっていけば、人類がこれまで歩んできたスパイスが、平和への一歩になるのではないかと想像します。
台所から始まる、平和への一歩
齊藤すごく共感します。実は獣の体を解体していると、その個体がどんなものを食べて生きてきたのかが、手に取るように分かるんです。ジビエは里山の縮図であり、その肉を食べる自分たちもまた、里山の変化の一部。その事実に、「食べる」という営みを通じて日々気付かされます。現在、獣害が増えていることの一因は、第一次産業の衰退によって耕作放棄地が増えていることにあります。だからこそ、地域で取れたジビエを「食べる」。そうして食卓につなぐことが、より良い里山の暮らしを育むだけでなく、小さな平和を広げていくことにつながると思うんです。
対馬スパイス
dai が手がける対馬のジビエ用スパイスシリーズ。「BOAR」「DEER」「FISH & VEGETABLES」「CURRY POWDER」の4種を展開しています。

