食材帖
豆・ダール — 種類と戻し方、ベッサンの使い方
トゥール・ムング・チャナ・ウラド・レンズ豆。ダールとは何か、種類ごとの個性と戻し方、豆の粉ベッサンの使い方。
レシピで「トゥールダール」「ムングダール」「チャナダール」と書かれていて、どれを買えばいいのか迷ったことはありませんか。インド料理では豆は主役級の食材で、種類ごとに香りも火の通りも変わります。でも「ダールとは何か」という原則さえ押さえれば、種類選びも下ごしらえもぐっと楽になります。この章では、代表的なダールと豆の個性、戻し方の違い、豆の粉(ベッサン)の使い方を整理します。
そもそも「ダール」とは
ダールは「豆」のことですが、料理でいうダールはもう少し具体的です。
「ダールというのは豆のことなんですけど、豆の中でも、皮をむいて半分にしたり、皮をむかずに半分にしたりしたものです。」 — メタ・バラッツ
つまり豆を割って(多くは皮をむいて)半分にしたものがダール。緑豆を割ればムングダール、ひよこ豆を割ればチャナダール、というぐあいに、もとの豆に「ダール」がつくと「その豆の挽き割り」を指します。
主なダールと豆の個性
役割で覚えると選びやすくなります。
| 名前 | もとの豆 | 個性と使いどころ |
|---|---|---|
| トゥールダール | キマメ(インゲンの仲間) | 甘く酸味のある独特の香り。サンバルやラッサムに欠かせない南インドの定番。 |
| ムングダール | 緑豆 | くせがなく火が通りやすい。やさしい口当たりで、ダールカレーの土台に。 |
| チャナダール | ひよこ豆(を割ったもの) | 香ばしくほくほく。煮崩れにくく食感を残したいときに。 |
| ウダドダール | けつるあずき(黒) | ドーサ・イドリーの生地や、南インドのテンパリングの香ばしさづけに。 |
| レンズ豆(マスールダール) | レンズ豆 | 手に入りやすく火が早い。サンバルやダールの代用にも使いやすい。 |
サンバルの香りを決めるのはトゥールダールです。
「トゥールダールの甘い香り、酸味のある香りはサンバルに欠かせない。ムングダールやひよこ豆を煮込んでも、この香りは出ないんです。」 — メタ・バラッツ
もちろん手に入る豆で作って構いません。ムングダールやチャナダール、身近なレンズ豆でサンバルを作る人もいます。まずは作りたい料理に「定番の豆」を合わせ、なければ近い豆で代用、と考えると迷いません。
「丸の豆」と「ダール」、戻し方が違う
同じ豆でも、丸のままか、割ったダールかで下ごしらえの手間が変わります。
「丸の緑豆は最低でも3時間は水につけないといけない。でもダールにしておけば、30分くらい前に軽く洗って水につけておけば使える状態になる。」 — メタ・バラッツ
豆を割って表面を出したダールは、水を吸うのが速く短い浸水で使えます。これが、豆をよく食べるインドでダールが重宝される理由のひとつ。いっぽう丸のひよこ豆のように皮ごとの豆は、缶詰を使わないなら一晩(数時間以上)の浸水が基本です。チャナマサラのように丸のひよこ豆を主役にするときは、前の晩から水につけておくと失敗しません。茹で加減はお好みで、塩を少し加えて下味をつけておくと、豆そのものがおいしくなります。
豆の粉「ベッサン」も覚えておく
豆は「粒」だけでなく「粉」でも使えます。ひよこ豆を挽いた粉がベッサンです。
- とろみづけ。 カレーに加えると水分を吸ってぐっとまとまり、とろみとコクが出ます。小麦を使わずにとろみをつけたいときにも便利です。
- 衣にする。 水で溶いて衣にすれば、パコラ(インド天ぷら)のころもになります。
ベッサンは油をよく吸う性質があり、入れた直後はぼってり固まります。慌てず、水分を足しながらのばしていくとなめらかになります。
まとめ
- ダールは豆を割って半分にしたもの。もとの豆の名前に「ダール」がつきます。
- トゥール(サンバル向き)、ムング(やさしい土台)、チャナ(ほくほく食感)、ウラド(生地・香ばしさ)、レンズ豆(手軽)と、個性で選びます。
- 割ったダールは浸水が短く、丸のひよこ豆などは一晩の浸水が基本です。
- ひよこ豆の粉ベッサンは、とろみづけや衣に使えます。

