第3部 くみたてる 3.17

ナッツでコクを作る — カシューやアーモンドでコルマのとろみと深みを出す

カシューやアーモンドをペーストにすると、小麦粉なしでとろみとコクが出ます。ナッツの量・水加減・煮込みの注意点と、ヨーグルトや生クリームとの合わせ方をコルマの作り方に沿って解説します。

図版ヒーロー画像(横長・食卓やスパイスの寄り)

「カシューカレーのコクととろみはどこから来るのか」「コルマってなぜあんなにまろやかなのか」。答えはナッツです。カシューやアーモンドをペーストにすると、小麦粉を使わずにとろみが付き、味に深みが出ます。この記事では、コルマ系カレーで使うナッツの量・水加減・煮込みの注意点、そしてヨーグルトや生クリームとの合わせ方を、実際の講座の作り方に沿って解説します。

コルマは「ナッツと乳製品をふんだんに使う」設計

コルマの語源はペルシャ語で「煮込み」を指します。北インドのラクナウで、ムガル帝国時代の貴族をもてなすために生まれた料理で、当時インドでは手に入りにくかったドライフルーツやナッツ、乳製品をたっぷり使うのが特徴です。800〜900年ほど前に作られたカレーだと言われています。

「完璧な贅沢料理だと言われていて、その贅沢品の一つでもあるナッツ、乳製品をふんだんに使った料理。カシューナッツ、アーモンド、ピスタチオとかいろんなものを使ったりもします。さらにバター、ギー、生クリーム、ヨーグルトが入って、スパイスの量も多い」 — メタ・バラッツ

つまりコルマは、ナッツ・乳製品・スパイスの量で「リッチさ」を作る配合です。後のバターチキンカレーも、このコルマがベースにあって生まれていったと考えられます。

ナッツはペーストにすると「とろみ」になる

ナッツでコクととろみを出す要は、ペーストにすることです。カシューナッツをそのまま具材として入れても食感は楽しめますが、とろみは出ません。ミキサーやすり鉢でペーストにして初めて、ソースのとろみとして効いてきます。

「ペーストにすることによって、これをソースのとろみにも活かしていく。ペーストにせずに具材として使ってもできますが、ただそのとろみというのが出てこない」 — メタ・バラッツ

  • さつまいものチキンコルマでは、茹でたさつまいもとカシューナッツ約30gを一緒にミキサーにかけ、水300ccでペーストにする。このさつまいもとカシューのとろみが、日本のカレーが小麦粉で出すとろみの代わりになる。
  • とろみが強すぎたら水を足して回す。少なすぎたら水を足さない、で調整できる。
  • ミキサーがなければ、ナッツを刻む・すり鉢で潰すでもよい。あるいはアーモンドプードル大さじ2を、パウダースパイスを入れるタイミングで加えると、香ばしさととろみを足せる。

ナッツの種類と使い分け

ナッツ 下準備 役割・特徴
カシューナッツ そのまま、または水に浸してペースト クセが少なくとろみとコクの土台。パウダーは傷みやすく、ペースト用に向く
アーモンド 5分(できれば20分)茹でて皮をむく 皮をむくと食感が変わり食べやすい。ペースト・具材・ローストの3役で使える
ピスタチオ 水に1カップほど浸してから柔らかくしてペースト カレーに使うのは珍しい。色と独特の風味が出る
ポピーシード(ケシの実) カシューと同じ水100ccでペースト カシューと同じタイミングで合わせ、とろみを補強する

ローストアーモンドチキンカレーでは、ペーストにしたナッツ・具材としてのナッツ・最後にローストして加えるナッツと、1つのカレーでナッツを3回登場させます。同じアーモンドでも食感と香りが変わり、それぞれ違う役割を持ちます。

ナッツペーストを加える手順と焦げへの注意

ナッツペーストは加えるタイミングと火加減に注意が必要です。カシューペーストは焦げやすいので、入れたら混ぜながら火を通します。

  1. 玉ねぎを炒め、ニンニク生姜を加えて香りが落ち着いたら、よく溶いたヨーグルトとナッツペーストを加えてぐつぐつさせる。
  2. カシューペーストは焦げやすいので、少しずつ混ぜながら火を通す。色が少し変わり、香ばしいナッツの香りが立ってくる。
  3. 鶏肉を加え、パウダースパイスと塩を入れてなじませる。
  4. 水は一気に入れず、100ccずつに分けて煮込む。少しずつ伸ばすととろみがまとまる。

仕上げのコクをさらに足したいときは生クリーム。クミンやニンニクを油で立てたところに生クリームを入れ、少し煮詰めると味がぐっとまとまります。アーモンドカレーなら、50ccほどの生クリームをトッピングのように回しかけるだけでもリッチになります。

ヨーグルト・生クリームとの合わせ方

コルマはトマトに頼らず、ナッツと乳製品で旨味とコクを作るのが原型です。トマトはコルマが生まれた時代にはまだインドに無く、代わりにヨーグルトが使われました。

「ヨーグルトを煮込む、炒めることで、最初の酸味からチーズっぽい旨味の香りに変わっていく。それがこの料理の中では特に面白いところ」 — メタ・バラッツ

  • ヨーグルトはよく溶いてから入れる。ボテッとしたまま入れるとダマになりやすい。
  • 翌日に温め直すとき、水で伸ばすと分離しやすい。牛乳や生クリームで伸ばすとまろやかさを保てる。
  • 色を付けたくない白いカレーでは、ナッツとスパイスをローストしてパウダーにし、香ばしさと深みだけを足す手もある。

まとめ

  • コルマはナッツと乳製品の量でリッチさを作る配合。北インドのラクナウ生まれの煮込み料理。
  • ナッツはペーストにして初めてとろみになる。カシュー約30g、ポピーは水100ccでペースト。アーモンドは茹でて皮をむくと食感が良い。
  • カシューペーストは焦げやすい。水は100ccずつ分けて煮込み、とろみをまとめる。
  • 温め直しは水でなく牛乳や生クリームで。ヨーグルトはよく溶いてから加える。

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