第3部 くみたてる 3.18

チャイのブレンド設計 — 茶葉とスパイスの相性で味が決まる配合の考え方

アッサム・CTC・ニルギリなど茶葉ごとの個性とスパイスの合わせ方、ジンジャーカルダモンの基本配合、3回沸騰させる淹れ方、レモングラスやペッパーのアレンジまで、家庭で作るチャイの設計図をまとめます。

チャイのブレンド設計 — 茶葉とスパイスの相性で味が決まる配合の考え方

チャイを家で作ると、なんとなく甘いミルクティーで終わってしまう。茶葉は何を選べばいいのか、スパイスはどれをどれだけ入れるのか、淹れ方で何が変わるのか。この記事では、アナン代表メタ・バラッツがオンライン料理教室で実演した配合をもとに、茶葉とスパイスの相性、基本の分量、3回沸騰させる淹れ方、季節のアレンジまでを整理します。

目次8

茶葉を先に決める。チャイの土台は紅茶の出方で変わる

チャイ作りはスパイスより先に茶葉から考えます。同じ「紅茶」でも産地と製法でミルクとの馴染み方がまったく違うためです。

茶葉 正体 チャイでの個性
アッサム アッサム地方で採れる品種・産地名 濃く煮出すやり方に合い、ミルクティーによく使われる。チャイに一番合うと言われる定番
CTC 製法名(Crush=潰す/Tear=ちぎる/Curl=丸める)。丸い粒状の茶葉 濃く出るので、牛乳で割ったときに紅茶の味がはっきり分かる
ニルギリ 南インド・ニルギリ産 ストレートだとレモンティーとして相性がよい。チャイにもできるが茶葉に合わせてスパイスを変えると良い

アッサムのCTCという組み合わせは、品種の濃さと製法の濃さが重なるため、ミルクで割るチャイの王道になります。日本茶でも作れて、バラッツは試作でほうじ茶と緑茶のチャイも作っています。緑茶の場合は独特の苦味があるので、それを爽やかな方向に振るスパイスを合わせます。

「アッサムは品種、アッサムという地域のお茶です。比較的アッサムはミルクティーと濃く煮出すやり方に合う。CTCは製法の名前で、クラッシュ、ティア、カール、ちぎって叩いて丸める。散々な目にあった茶葉です。そうすると濃く出て、牛乳で割ると紅茶の味が分かりやすい」

— メタ・バラッツ

基本配合:ジンジャーカルダモンチャイ

路上で出されるシンプルなチャイは、茶葉が少なめで水が多めです。バラッツが砂漠で飲んで思い出深いというジンジャーとカルダモンのチャイが、この設計にあたります。教室で実演した分量はこちらです。

  • アッサム茶葉 大さじ1
  • 水 2カップ/牛乳 2カップ(水と同量)
  • 砂糖 大さじ2
  • カルダモンパウダー 小さじ1/4
  • ジンジャーパウダー 小さじ1/4

茶葉もスパイスもかなり少なめで、これで十分おいしくできる量です。倍量入れてもおいしくなりますが、まずはこの薄めの配合が基準になります。スパイスをホールのカルダモンで入れる場合、目安は「3〜4杯分に3〜4粒」、1カップあたり1粒程度で、それでも少し贅沢なくらいです。

3回沸騰させる。淹れ方が味を決める

材料は全部まとめて鍋に入れて火にかけるだけのシンプルな手順ですが、沸かし方にコツがあります。

  1. 水・茶葉・スパイス・砂糖を鍋に入れて火にかけ、沸騰させる。
  2. 泡がぶくぶく立ったら火を止める。少し置いてまた沸騰させる。これを3回繰り返す。
  3. 牛乳を加えてもう一度沸騰させる(豆乳など分離しやすいものは、紅茶側だけ作って漉してから合わせる)。
  4. 火を止めて1分ほど置いて蒸らし、漉す。

3回というのはバラッツの祖母の教えで、何もせずさっと淹れたものと3回沸騰させたものでは断然味が違うといいます。1杯目から吹きこぼしやすいので、火加減には注意します。冷めてもおいしいので、持ち運びにも向きます。

「3回やりなさいって、うちのおばあさんが言ってたんです。おまじないみたいなものですけど、その方が断然おいしい。何もやらずにちょろちょろっと淹れて飲むのと、3回やってから飲むのとでは、本当に違います」

— メタ・バラッツ

濃さとスパイスを動かしてアレンジする

基本配合を覚えたら、比率とスパイスで好みに寄せられます。

  • こっくりさせたい:ミルクを倍にする。牛乳400mlなら600mlに増やし、水を200mlに減らす。
  • 茶の存在感を強く:茶葉を2倍にする。
  • スパイスを足す:シナモンを加える。ガラムマサラがシナモン・カルダモン・ジンジャー中心のブレンドなら、それ自体がチャイのミックスに近い。
  • 辛味のアクセント:ブラックペッパーを少量一緒に煮込むと「ペッパーチャイ」になる。

西インド・グジャラートでは、基本のスパイスに加えてレモングラスやミントを一緒に煮出す爽やかなチャイがよく飲まれます。生姜をやめてフレッシュなミント3〜4枚に替え、レモングラスをグツグツ煮出すと方向が変わります。レモングラスを効かせて甘めにし、氷で冷やせばアイスチャイにもなります。インドではアイスチャイは一般的ではありませんが、ハーブを効かせたものは暑い時期の西インドで飲まれています。

変わり種:カシミールのピンクチャイ

チャイは茶色だけではありません。カシミールやパキスタンで飲まれるピンクチャイは、本来カシミール茶葉で作りますが手に入らないため、教室では緑茶で代用します。緑茶を煮出し、食用の重曹と塩を加えて長く煮詰めると、化学変化で液体が赤ワインのような濃い色になり、これを牛乳で割るとピンク色になります。

  • 緑茶 大さじ2/水 2カップで濃い原液を作り、ホールのスターアニス・カルダモン・クローブ・シナモンで香りをつける。
  • 氷水を加えては煮詰める工程を繰り返し、色を出す(普段5分のチャイがこれは30分かかる手間もの)。
  • 砂糖を加えて漉す。原液は約2週間保存でき、50mlの原液に牛乳1カップ程度で割る。
  • 仕上げにピスタチオやアーモンドを刻んで散らすと、食感が出る。

まとめ

  • 茶葉を先に決める。アッサム=濃く煮出してミルクに合う定番、CTC=濃く出て紅茶感が分かりやすい製法、ニルギリ=ストレート向きで合わせるスパイスを変える。
  • 基本配合は薄めでよい。アッサム大さじ1・水2カップ・牛乳2カップ・砂糖大さじ2に、カルダモンとジンジャーのパウダー各小さじ1/4。
  • 淹れ方は3回沸騰+1分蒸らし。これだけで味が変わる。
  • こっくりはミルク増、爽やかはレモングラスやミント、辛味はペッパー。緑茶+重曹のピンクチャイなど変わり種も。

関連記事

よくある質問

チャイに合う茶葉はどれですか?

アッサムが定番で、チャイに一番合うと言われます。アッサムは産地・品種の名前で、濃く煮出すやり方に合い、ミルクティーによく使われます。さらにCTC製法のものは濃く出るため、牛乳で割ったときに紅茶の味がはっきり分かります。品種の濃さと製法の濃さが重なるアッサムのCTCが、ミルクで割るチャイの王道の組み合わせです。

チャイの基本の配合はどれくらいですか?

アッサム茶葉大さじ1、水2カップ、牛乳2カップ(水と同量)、砂糖大さじ2、カルダモンパウダーとジンジャーパウダー各小さじ1/4が、教室で実演された基本配合です。茶葉もスパイスもかなり少なめですが、これで十分おいしくできます。ホールのカルダモンを使う場合は3〜4杯分に3〜4粒、1カップあたり1粒程度が目安です。

チャイを3回沸騰させるのはなぜですか?

バラッツの祖母の教えで、何もせずさっと淹れたものと3回沸騰させたものでは断然味が違うといいます。水・茶葉・スパイス・砂糖を鍋で沸騰させ、泡が立ったら火を止めて少し置き、また沸騰させるのを3回繰り返してから牛乳を加えてもう一度沸騰させ、火を止めて1分ほど蒸らして漉します。1杯目から吹きこぼれやすいので火加減には注意が必要です。

チャイを濃厚にするにはどうすればいいですか?

こっくりさせたいならミルクを増やします。牛乳400mlなら600mlに増やし、水を200mlに減らすという調整です。茶の存在感を強くしたいなら茶葉を2倍にします。スパイス面では、シナモンを足したり、ブラックペッパーを少量一緒に煮込んでペッパーチャイにしたりと、基本配合を起点に比率とスパイスで好みに寄せられます。

ピンクチャイとはどんな飲み物ですか?

カシミールやパキスタンで飲まれるピンク色のチャイです。本来はカシミール茶葉で作りますが、手に入らないため教室では緑茶で代用します。緑茶を煮出して食用の重曹と塩を加え、氷水を加えては煮詰める工程を繰り返すと液体が赤ワインのような濃い色になり、牛乳で割るとピンク色になります。普段5分のチャイに対し30分かかる手間もので、原液は約2週間保存できます。

夏向けの爽やかなチャイのアレンジはありますか?

西インド・グジャラートでは、基本のスパイスに加えてレモングラスやミントを一緒に煮出す爽やかなチャイがよく飲まれています。生姜をやめてフレッシュなミント3〜4枚に替え、レモングラスをグツグツ煮出すと方向が変わります。レモングラスを効かせて甘めにし、氷で冷やせばアイスチャイにもなります。ハーブを効かせたチャイは暑い時期の西インドで飲まれています。