第2部 あやつる 2.21

魚カレーの下処理 — 臭みを抑え、先焼きで旨味を油に移す

魚カレーが生臭い、身が崩れる、ソースと魚が一体にならない。その原因はマリネと先焼きの一手間にあります。ターメリックでのマリネ、表面だけ焼いて旨味を油に移す手順、崩さない扱い方を、家庭で再現できる形でまとめました。

魚カレーの下処理 — 臭みを抑え、先焼きで旨味を油に移す

魚でカレーを作ると、生臭さが残ったり、煮込むうちに身がほぐれてバラバラになったり、ソースは美味しいのに魚だけ浮いている感じになったりします。原因の多くは、煮込む前のマリネ先焼きを省いていることにあります。この記事では、ターメリックでのマリネ、表面だけ焼いて旨味を油に移す手順、身を崩さない扱い方を、サバ・サンマ・サワラ・タラ・エビなど身近な魚介で再現できる形で説明します。

まず魚をターメリックでマリネする

切った魚にターメリックをまぶし、ここにレモン汁やライム汁を加えて置いておきます。フィッシュカレーの回では、ターメリック小さじ1にクミンパウダー小さじ1を合わせて青魚にまぶしました。ターメリックを混ぜる狙いは一つではありません。

「ターメリックはベースの味をしっかりさせてくれるのと、臭み消しもあります。あと多分抗菌というか、昔からのレシピなので物を保存させる、ちょっと持たせるという理由もあります。酸味消しとかそういうものと、あとはこの保存という観点からもターメリックは使われていて、それがずっと同じように残ってレシピとして残っているのかな」 — メタ・バラッツ

青魚のときはクミンパウダーを合わせると相性が良く、サワラやタラのような白身ではターメリック+レモン汁だけでも十分です。マリネ液は最後に鍋へ戻すと、レモンの酸味で味が締まります。

なぜ煮込む前に一度焼くのか

味噌煮込みのサバは焼かずに入れて煮ますが、カレーでは先に焼きます。理由は魚の出汁・旨味を油に移すためです。

「魚のだし旨味を油に移すため。例えばこれをやらなくてもできるんだけど、その魚のソースとカレーのソースと魚がくっついてない、別々の存在になりがち。その時にくっついてくれる役割としてこの油がいるわけです。でも油自体が香りをまとってなければ、ソースはおいしいカレーの風味だ、でも具材は魚だ、というのはちょっと面白くないので、それをくっつけるためにやってる」 — メタ・バラッツ

焼いた油でそのまま玉ねぎやトマトを炒めていくと、魚のエキスがベースに入り、ソースと魚が一つにまとまります。東インドの川魚料理では、マリネした魚を素揚げし、その旨味の出た油をベースにカレーを作る手法が古くから使われています。

先焼きのもう一つの効果は「崩れにくくなる」

魚は最後に加えたい具材ですが、生のまま煮込むと身がほぐれます。先に表面を焼いて焼き固めておくと、後から戻して軽く煮込んでも崩れにくくなります。焼くときのコツは二つです。

  • 表面が焼ければいい。後で軽く煮込むので、中まで火を通す必要はありません。表面に焼き色がついたら一度ボウルに取り出します。
  • 触りすぎない。「何個も見すぎると崩れる」ので、ひっくり返す回数は最小限に。フライパンの上で何度も動かさないことが、形を残すコツです。

魚の種類による扱いの違い

魚介はそれぞれ性質が違い、火の入れ方を変えると失敗しません。

魚介 性質・狙い 扱い方
サバ・サンマ(青魚) 独特の脂と風味。ココナッツより味噌など濃い旨味と好相性 ターメリック+クミンパウダーでマリネし表面を焼く
サワラ・タラ・ブリ・スズキ(白身) 身がやわらかく崩れやすい。ブリは特に相性が良い 一口大に切り表面だけ焼く。ソースを先に仕上げ、食べる直前に加える手も
エビ 殻から出汁が取れる。火を通しすぎると硬くなる 殻を剥いてぬるま湯で出汁を取りソースに使い、身は最後に加える

エビは殻を捨てずに、剥いた殻をぬるま湯に入れて出汁を取り、それをソースの水分に使うと旨味が増します。身は仕上げに入れ、反って開いてきたら火が通った合図です。

仕上げ:魚は最後に戻して軽く煮るだけ

ソースができたら、焼いておいた魚をマリネ液ごと戻します。ここからは煮込みすぎないことが大切です。

  1. ソースがぐつぐつしたら火を弱める
  2. 魚を戻したら蓋をして軽く煮る(白身なら4分ほどが目安)。
  3. 魚に火が通ったら完成。最後にレモンやライムを絞ると後味が締まる。

魚は肉ほど長く煮る必要がないので、土台のソースさえしっかり作れば、全体の調理時間はふつうのカレーより短いくらいです。バットに広げて冷ますと味が染み、サバの味噌煮のように冷めても美味しく食べられます。

まとめ

  • 切った魚はターメリック+レモン汁でマリネ。ターメリックはベースの味、臭み消し、酸味消しを兼ねる。
  • 煮込む前に表面だけ焼き、魚の旨味を油に移す。この油がソースと魚をつなぐ橋になる。
  • 先焼きは焼き固めにもなり、触りすぎなければ煮込んでも崩れにくい。
  • 魚は最後に戻して火を弱め蓋をして軽く煮るだけ。エビは殻で出汁を取り、身は反ったら火が通った合図。

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