食材帖

ニルギリ紅茶とは|南インドの「青い山」で育つ、渋みの少ない万能な茶葉

ニルギリ紅茶は、南インドのタミル・ナードゥ州「青い山」の高地で育つ紅茶です。渋みが少なく花のような香りで、アイスティーにもチャイにも向きます。産地と名の由来、他の紅茶との違い、淹れ方をまとめます。

ニルギリ紅茶とは|南インドの「青い山」で育つ、渋みの少ない万能な茶葉

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ニルギリ紅茶は、南インドのタミル・ナードゥ州にある「青い山」ニルギリ丘陵で作られる紅茶です。標高1,000〜2,500mの高地で育ち、渋みが少なく、花のような甘い香りとすっきりした後味が持ち味です。アッサム、ダージリンと並ぶインド三大紅茶のひとつで、ニルギリティーとも呼ばれます。水色(すいしょく)が濁りにくいためアイスティーに向き、ミルクと砂糖をたっぷり入れたチャイにしても重くならない、合わせる素材を選ばない茶葉です。

このページでは、ニルギリがどこにあるのか、なぜ「青い山」と呼ばれるのか、アッサムやダージリン、セイロンと何が違うのか、熱湯で2〜3分という基本の淹れ方、そしてニルギリで作る軽いマサラチャイまでをまとめます。チャイ全般の作り方はチャイ完全ガイド、スパイスの配合はチャイのブレンド設計に譲り、ここでは茶葉そのものに絞ります。

ニルギリ紅茶とは:南インドの「青い山」で育つ高地の紅茶

ニルギリは、タミル語で「青い山」を意味します。ニーラ(青)とギリ(山)を合わせた言葉で、南インドのタミル・ナードゥ州西部、ケーララ州とカルナータカ州に接する山塊の名前です。西ガーツ山脈の一部で、最高峰のドッダベッタは標高2,637mあります。この山塊の斜面一帯で作られる紅茶を、産地の名をとってニルギリ紅茶と呼びます。

中心の街はウーティ(正式名ウダガマンダラム)で、標高はおよそ2,200mです。周囲の茶園は標高1,000〜2,500mに広がり、一年を通じて霧がかかり、朝晩は冷え込みます。平地のアッサムとは対照的な冷涼な気候が、渋みの穏やかな茶葉を育てます。

「青い山」という名の由来としてよく挙げられるのが、この山に自生するクリンジ(ニーラクリンジ、Strobilanthes kunthiana)です。12年に一度だけ青紫の花を一斉に咲かせ、斜面を青く染めることから山の名が付いたと言われています。「ニルギリの花」として知られるのはこの花で、開花の年には見物客が山に集まります。

歴史・産地:イギリス人の避暑地ウーティと紅茶畑

ニルギリで茶の栽培が始まったのは19世紀です。イギリス統治下で試験栽培が行われ、1850年代以降に茶園が広がりました。ウーティは、平地の暑さを逃れるイギリス人が避暑地として整えた街で、今も当時の教会や山岳鉄道が残っています。店主バラッツは、このニルギリの全寮制学校で学生時代を過ごしました。

南インドの山の上で過ごした学生時代、私を包んでいたのは「ニルギリ」の澄んだ空気でした。標高2,000mを超えるウーティの街は、かつてイギリス人が避暑地として作った場所で、周囲には見渡す限りの紅茶畑が広がっていました。あまりに美しくて、「インドのスイス」と呼ばれるのも頷けました。

現在のニルギリは、アッサム、ダージリンに続くインド第3の紅茶産地です。ダージリンの価値が春と初夏の収穫に集中するのに対し、ニルギリは一年を通じて摘み取りができます。中でも12月から2月の乾いた冷え込みの時期に摘む茶葉は「フロスト・ティー」と呼ばれ、香りが最も高まります。製法は、葉を細かく砕くCTCと、葉の形を残すオーソドックスの両方があります。

味と香りの正体:アッサム・ダージリン・セイロンとの違い

ニルギリの味を一言でいえば「軽くて澄んでいる」です。渋みが極めて少なく、口当たりはさらりとしています。香りは花のように甘く、後味にクセが残りません。抽出時間を少し長めにとっても渋みが出にくいので、失敗の少ない紅茶でもあります。

アッサムは北東インドの平地で育ち、麦芽のような濃厚なコクと深い赤褐色の水色を持ちます。ミルクティーの王道です。ダージリンはヒマラヤ山麓の高地で育ち、マスカテルと呼ばれる果実のような香りと、はっきりした渋みが個性です。ストレート向きです。セイロン(スリランカ)の高地産は、明るい水色とすっきりした渋みを持ち、ニルギリと最も性格が近い紅茶です。この4つの中で、ニルギリは渋みがいちばん穏やかで、香りが花に寄っています。

もうひとつの違いは、冷やしたときの振る舞いです。アッサムやダージリンのように渋みの成分が多い紅茶は、冷やすと液が白く濁ります。これをクリームダウンと呼びます。ニルギリは渋みの成分が少ないため濁りにくく、氷を入れても透き通った琥珀色を保ちます。アイスティーに向く理由はここにあります。

ダージリンのような際立った個性やアッサムのような濃厚なコクとは少し違って、もっと優しく、どんなものとも調和できる懐の深さがあります。私が通っていた学校でも、日常的に飲まれていたのはこのニルギリの紅茶に、たっぷりのミルクと砂糖を加えたものでした。街の喫茶店に入れば、立派な白ひげを蓄えたイラン人の店主が、薄いトーストにバターを塗りながら、この紅茶を淹れてくれました。あの空気の清々しさは今も舌の記憶に残っています。

使い方の原則:熱湯で2〜3分、冷やしても、煮出しても

  • 沸かしたての熱湯を使う。茶葉は150mlあたり小さじ1(約2〜3g)が目安です。温めたポットに茶葉を入れ、沸騰直後の湯を注ぎます。ぬるい湯では花の香りが立ちません。
  • 蒸らしは2〜3分。渋みが出にくいので、3分まで置いても重くなりません。薄いと感じたら、時間を延ばすより茶葉を増やします。
  • アイスティーは2倍の濃さで。茶葉を倍量にして熱く淹れ、氷を満たしたグラスに一気に注ぎます。急冷しても濁りにくいのがニルギリの強みです。レモンを絞ると香りが立ちます。
  • チャイは水で煮出してからミルクを足す。ミルクと合わせるときは、水で茶葉を1分ほど煮出してからミルクを加えます。渋みが穏やかなので、ミルクをたっぷり入れても重くなりません。合わせるスパイスは、カルダモン1〜2粒、シナモン小片程度から始めると茶葉の香りが残ります。
  • 保存は密閉して冷暗所に。茶葉は湿気と光と匂いを吸います。開封後は缶や密閉袋に移し、コーヒーやスパイスの隣を避けて、1〜2ヶ月で使い切ります。詳しくは保存と鮮度にまとめています。

ニルギリで作る軽いマサラチャイ

材料(2杯分)は、水200ml、牛乳200ml、ニルギリの茶葉小さじ2、カルダモン2粒(さやを割る)、シナモン2cm、生姜の薄切り2枚、砂糖小さじ2〜3です。

  1. 小鍋に水とスパイスを入れ、中火で沸かします。沸いたら弱火にして1分、スパイスの香りを湯に移します。
  2. 茶葉を加え、1分煮出します。ニルギリは長く煮ても渋くなりにくいので、色がしっかり出るまで待って大丈夫です。
  3. 牛乳と砂糖を加え、鍋の縁がふつふつする手前まで温めます。沸騰させると香りが飛ぶので、その手前で火を止めます。
  4. 茶こしで濾しながらカップに注ぎます。

アッサムのCTCで作る本場風のチャイに比べて、色は淡く、飲み口は軽くなります。学校の食堂で出るような、ミルクと砂糖たっぷりの日常の一杯です。スパイスを増やしたいときは、チャイのブレンド設計を参考に、クローブや黒胡椒を1粒ずつ足してください。濃いめに煮出して氷に注げば、アイスチャイにもなります。

もっと深く・関連

店主バラッツが学生時代に毎日飲んでいた南インドの茶葉は、ニルギリ(80g、インド産ニルギリ地方)としてアナンで扱っています。

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よくある質問

Q.ニルギリ紅茶とは何ですか?
A.南インドのタミル・ナードゥ州にあるニルギリ丘陵で作られる紅茶です。ニルギリはタミル語で「青い山」を意味します。標高1,000〜2,500mの冷涼な高地で育つため渋みが少なく、花のような甘い香りとすっきりした後味が特徴です。アッサム、ダージリンと並ぶインド三大紅茶のひとつです。
Q.ニルギリはどこにありますか?
A.インド南部、タミル・ナードゥ州の西端で、ケーララ州とカルナータカ州に接する山塊です。西ガーツ山脈の一部で、最高峰ドッダベッタは標高2,637mあります。中心の街は標高約2,200mのウーティで、イギリス統治時代に避暑地として整えられ、周囲には紅茶畑が広がっています。
Q.ニルギリ紅茶はアッサムやダージリンと何が違いますか?
A.アッサムは濃厚なコクと深い赤褐色の水色でミルクティー向き、ダージリンは果実のような香りとはっきりした渋みでストレート向きです。ニルギリは渋みがいちばん穏やかで、香りが花に寄り、水色が澄んでいます。冷やしても濁りにくく、ミルクを入れても重くならない、合わせる素材を選ばない紅茶です。
Q.ニルギリ紅茶のおいしい淹れ方は?
A.150mlあたり小さじ1の茶葉を温めたポットに入れ、沸騰直後の熱湯を注いで2〜3分蒸らします。長めに置いても渋みが出にくいので失敗が少ない紅茶です。アイスティーは茶葉を倍量にして濃く淹れ、氷を満たしたグラスに一気に注ぎます。チャイは水で1分煮出してからミルクを加えます。
Q.ニルギリの「花」とは何のことですか?
A.ニルギリ丘陵に自生するクリンジ(ニーラクリンジ、Strobilanthes kunthiana)のことです。12年に一度だけ青紫の花を一斉に咲かせ、斜面を青く染めます。この光景が「青い山」という地名の由来のひとつとされ、開花の年には多くの見物客が山を訪れます。

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