『鎌倉のケーキ屋さん、スパイスを学ぶ。第2話』 – POMPON CAKES × メタ・バラッツ(2/4)

鎌倉のケーキ屋さんとスパイス商が、お菓子づくりとスパイスの新しい関係を探る企画が始まります。

きっかけはPOMPON CAKESの立道嶺央さんが、雑貨と食品を扱う姉妹店をリニューアルした時のこと。
お店で販売するスパイスについて立道さんがスパイス商のメタ・バラッツさんに相談しました。

「もっとスパイスって日常的に使ってもいいよね」とか、
「興味はあるけど、いざ使うとなると難しいんだよね」とか。

もともと立道さんもスタッフの皆さんも、カレーやスパイスが好き。
バラッツさんにもっとスパイスの事や、インドのスイーツまで教えてもらったらいい学びになるのでは!と考え、この企画が生まれました。

アナン株式会社 メタバラッツさん(左)と、POMPON CAKES BLVD 立道嶺央さん(右)

第1回はこちら

今回はバラッツさんが作って持ってきてくれた、 「ラドゥ」というインドのお菓子から話が始まります。


第2話 インドのお菓子『ラドゥ』を食べて、作ってみよう。

「ラドゥ」ってなに?

バラッツ:
朝自宅で「ラドゥ」というお菓子を作って持ってきました。このラドゥから話を始めましょう。
ラドゥとは、ひよこ豆の粉(ベッサン)と、ギー(発酵バター)と砂糖で作られたお団子のように丸められたクッキーのようなお菓子のことです。あまりご存じないですかね?

皆さんは数年前に公開された『マダム・イン・ニューヨーク』という映画を見たことはありますか?インドから出たことのないお母さんがニューヨークに旅立つという話です。その映画の中でもラドゥというお菓子は「母の味」の象徴としてとても大切な役割を果たしています。


マダム・イン・ニューヨークの主人公はインドのごく普通の主婦シャシ。料理上手で得意のラドゥは商品になるぐらい美味しいと評判です。

ですが困ったのはそれ以外に特技がなく、
周りの人から見下されたり心ない言葉を掛けられたりする事。

色々な困難を特異のお菓子作りによって乗り越え、再び自信を持って立ち上がります。

English Vinglish (2012)

バラッツ:
またこの「ラドゥ」という言葉自体は「丸い」という意味です。なので子供のことを「ラドゥ」と呼んだりもします。

さらにラドゥはインドの象の姿をした神様、ガネーシャの大好物なんですね。
インドのガネーシャが祭られている寺院では必ずラドゥがお供え物になっているし、参拝者はそれぞれラドゥがもらえます。

バラッツ:
私も子供のころはよくラドゥを食べていましたね。
私は母親が日本人で父親がインド人ですが、父の母、つまり私のおばあちゃんと一緒に住んでいた時に、おばあちゃんがよくラドゥを作ってくれていました。
そのラドゥはナッツがたっぷり入っていてすごくおいしかった。その味を今でもよく覚えてます。

バラッツ:
ラドゥは子供も大人もみんな大好きだけど、毎日食べられるわけではないんですよね。もちろんお店などでも買えますが、どちらかというと、お祝い事などで親族が集まるときに、お母さんやおばあちゃんがたくさん作ってふるまってくれる「ハレの日」の家庭のお菓子なんです。

一般的にインドでは買ってきたものをお客様に出すのは失礼と考えられているので、こうした親族の集まりでは手作りのお菓子を用意します。そのレシピが祖母から母へ、母から娘へと、代々受け継がれていきます。


バラッツさんちの「おばあちゃんのラドゥ」

バラッツ:
さあ、今朝私が作ってきたメタ家の「おばあちゃんのラドゥ」、ぜひ食べてみてください。
クッキーみたいですが、小麦粉ではなくてひよこ豆の粉(ベッサン)を使うのが面白いですよね。ベッサンはインド料理ではよく使われていて、パコーラというインド風天ぷらもこの粉を使いますし、 粉自体が油をよく吸うのでインドの田舎の方ではベッサンを洗剤代わりに使うところもあるぐらいです。

立道:
あ、おいしい!なんかブールドゥネージュっぽくてめっちゃ好きだわ。

※ブールドゥネージュ:アーモンドを使った生地を焼き、粉砂糖をまぶしたザクザクした食感のフランスの焼き菓子。別名スノーボールクッキーとも。

PONPOMCAKESスタッフ:
なんかとっても素朴な香り。ザクっとした歯ごたえもいいですね。

バラッツ:
気に入ってもらえてうれしいです!よかった。

立道:
これ本当においしいです。イメージしていたよりも甘さ控えめで。
ちなみにインドのお店で売っているラドゥはもっと甘いんですか?この甘さは何を使ってますか?

バラッツ:
お店で食べるラドゥはこんなに素朴な感じではないですね。
ココナッツファイン(ココナッツの繊維)をまぶしてあったり、砂糖でコーティングしてあったり。この「おばあちゃんのラドゥ」は粗製糖を使っていますが、お店で食べるともうちょっと甘さが強いかもですね。

立道:
なるほど、いろんなバリエーションがあるんですね。「おばあちゃんのラドゥ」は何のスパイスを使っているんですか?

バラッツ:
今回のラドゥはターメリック、ナツメグ、カルダモン、あとちょっと豪華にサフランも使っています。
もちろん、スパイスの組み合わせや分量も家庭によって全然違います。


「おばあちゃんのラドゥ」のレシピ

バラッツ:
さて。ここからはPOMPON CAKESの厨房を借りて、実際にみんなで我が家のラドゥを作ってみましょう。

※以下、バラッツさんちのラドゥのレシピをお届けします。ぜひ皆さんもご家庭で作ってみてください。
(10~15個分です。)

ひよこ豆の粉(ベッサン)150g
粗製糖100g
ギー75g
カルダモン(パウダー) 小さじ1/8
ターメリック(パウダー) 小さじ1/8
ナツメグ(パウダー) 小さじ1/8
サフラン(ホール) ひとつまみ
ナッツ (アーモンド、カシューナッツ、松の実) 合わせて20g
大さじ1

1.ナッツを刻みます。
フードプロセッサーをつかってもよいです。

2.ナッツを炒めます。
香りが立つまで中火でローストし、取り出します。

3.フライパンにギーをいれ、温めて溶かします。
一気に入れず、分けて入れていきます。

4.ベッサンを全量入れ、固まらないようにかき混ぜます。
この状態で15分ほど弱火で炒めるので焦がさないように注意しましょう。徐々に色も変わってきてペーストみたいになります。

5.水(大さじ1)を回しかけ、さらに炒める。
見た目はひき肉みたいになって来ます。

6.ナッツを入れて混ぜ合わせます。

7.バットの上にひろげ、粗熱を取ります。
撮影の時には保冷剤を敷きました。

8.粗製糖とスパイスを入れ、混ぜ合わせます。

9.一口大に手で握って固め、丸く成型します。
お好みでドライフルーツやピスタチオなどを埋め込んでも美味しくなりますよ!

10.生地が落ち着くまで常温ですこし寝かせ、完成!

作ったその日に食べなくてもいいぐらいは日持ちするとの事。
皆さんも是非お試しください。


作った「ラドゥ」を食べましょう!

立道さんがカルダモンとドライフルーツのハーブティーを準備してくれ、テーブルに作ったラドゥが並びます。

皆さん一口で食べた後、

「おいしい!」
「食べやすい!」
「ちんすこうに似てる」

などなど。ワイワイとみんなでラドゥを食べます。
今回は少し火が強かったのか、粘度がなくなってしまったようです。

今回はスパイスの話を聞いた上で、実際にお菓子を食べて作ってみました。
どうやら立道さんにとっても刺激ある会だったようです。


立道さんの「ラドゥ」の感想は・・・

編集部:
立道さん、「ラドゥ」のお味はいかがでしたか?
今回は「ラドゥ」をヒントに新しいお菓子作りをしてもらおうという企画です。結構普段作られているスイーツの味や香りと全然違うんじゃないかなと思いますが、何か新しいインスピレーションとか湧きそうですか?

立道:
まず食べてみて「おいしい!」って思いましたね。インドのお菓子と聞いて、もっと強烈なスパイスの香りとか、甘さがドカッ!とくるものをイメージしていたのですが全然違いました。これにドライフルーツを入れたりして、色々アレンジを加えても美味しそう。

編集部:
お菓子の作り方や素材の部分で、何か洋菓子と違った発見はありましたか?

立道:
作り方も材料も普段の自分が知っているものと違うので新鮮でしたね。ひよこ豆の粉も初めて使いましたが、ひよこ豆がまとまるとクッキーみたいになるのは不思議な発見でした。粉にちゃんと火が入っている香ばしい感じも、とてもいいです。

僕たちの作る焼き菓子って、なるべく粉の奥まで火を入れようと思うんです。だから成形したものをオーブンに入れてどれだけ焼けるかっていう我慢勝負。でもラドゥは先にフライパンで粉に直接しっかり火を入れていて、「焼き」菓子って感じでした。

立道
インドのお菓子、スパイスって聞くと味が強過ぎる、すっごい甘いという先入観があるけど、新しい発見が沢山あった会でした。
これをヒントに新しいお菓子かあ・・・。もう既にいくつか試してみたい案が浮かんできましたよ。楽しみにしててください。


次回予告

立道さんは早くもスパイスを使ったお菓子のイメージを膨らませているようでした。

第3回はこちらから。POMPON CAKESの立道さんがオリジナルレシピを試作します。お楽しみに!


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