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サブジ完全ガイド|野菜とスパイスの炒め方と、全24品

サブジはインドの言葉で「野菜」。野菜のスパイス炒めもサブジです。油にホールスパイス、野菜、ターメリックと塩、蓋をして蒸し焼きの5ステップ、北のサブジと南のポリヤルの違い、24品の材料表の実数、全レシピまでの完全ガイドです。

サブジ完全ガイド|野菜とスパイスの炒め方と、全24品

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サブジは、インドの言葉で「野菜」のこと。畑の野菜も、台所で切る前の野菜も、スパイスで炒めた料理も、ぜんぶサブジと呼びます。日本でいえば「お惣菜」に近い言葉で、インドの家庭ではカレーの横に、ときには主役として並びます。

このページは、アナンのサブジ(野菜のスパイス炒め)に関するすべての入口です。店主のメタ・バラッツは月に一度のオンライン料理教室のほかに、鎌倉の店で農家の野菜箱を開けてから献立を決める「サブジの会」を40回以上続けてきました。その実技と、全24品のレシピ、材料表の実数を一枚の地図にまとめました。

サブジとは — 野菜であり、野菜の料理でもある

バラッツはnoteでこう書いています。

野菜料理全般を「サブジ」と呼ぶ。ポテトサブジ、オクラとトマトのサブジなどなど。そして調理される前の野菜も「サブジ」と呼ぶし、畑に生えている野菜も「サブジ」と呼ぶ。便利なようで曖昧な言葉である。

つまりサブジは料理名というより「野菜」という言葉そのもので、家庭ごと、地域ごとに味が違います。アナンのレシピで見ると、共通するのは油でホールスパイスの香りを起こし、野菜を炒めるか蒸し焼きにする、という骨格だけです。

  • カレーではない……汁気の多い里芋のサブジを見て「カレーに見えてもサブジーです」とバラッツは言います。ただしアルゴビの土台は「伸ばせばカレー」。同じ技術の、汁のない側がサブジです。
  • ポジションはおかず……インド北部や西部では、ちぎったチャパティでサブジや豆料理を包んで食べます。バラッツが西インドで暮らしたときの毎日は、サブジとチャパティのあとに、ムングダールとご飯でした。
  • 南では名前が変わる……タミル語ではポリヤル。マスタードシードで始めて仕上げにココナッツファインを入れるので、北のサブジとは味が別物になります。
  • 日本はサブジ天国……四季で野菜が入れ替わる日本は、バラッツいわくインドより向いている土地。旬の野菜とスパイスの組み合わせで、レシピはいくらでも増えます。

基本の作り方 — 油に粒、野菜、色と塩

いちばん短いサブジはキャベツのサブジです。玉ねぎもトマトも使わず、スパイスはマスタードシードとターメリックの二つだけ。工程はその実写真です。

料理教室の実数はこうです。油は大さじ1、マスタードシード小さじ1、ターメリック小さじ1/2、塩小さじ1、キャベツ1/4玉。マスタードシードは別鍋のテンパリングではなく、最初から油に入れて、ポップコーンのような香ばしい香りとともにパチパチ弾けるのを待ちます。野菜を入れたら色と塩、そして蓋。時間は好みで決めます。

柔らかくしたければたくさんやればいいし、シャキッとしたければほんの少しでいいですね。(バラッツ、料理教室の実況より)

味の原理はカレーと同じです。スパイスは香り、味は塩。仕上げにレモンを絞ったら、強火で一回だけグッと火にかけて出来上がり。

スパイスというのは基本的に香りですね、スパイスというのは香りであって味ではないので、量をしっかりと入れて味を作るというのがとても大事な工程になります。(バラッツ、料理教室の実況より)

二つの型 — 北の玉ねぎトマト型と、南のココナッツ型

キャベツの5ステップを覚えたら、次はアナンのレシピの大半を占める二つの型です。

北の型はアルゴビ(アル=じゃがいも、ゴビ=カリフラワー)。バラッツが「メインディッシュのようなサイドディッシュ」と呼ぶ、インド料理店でよく見かける野菜料理です。油大さじ2にクミンシード小さじ1/2とヒングを入れてシュワシュワさせ、玉ねぎのみじん切りを中火から強火で縁が茶色くなるまで。にんにく生姜、トマトと進み、ターメリック小さじ1・コリアンダー小さじ2・アムチュール小さじ1・レッドペッパー小さじ1/2〜1を塩小さじ1と同時に入れ、水50mlでなじませます。ここに下茹でしたじゃがいもとカリフラワーを合わせ、仕上げにカスリメティを揉み入れて、レモンとパクチー。

ここがもう本当にカレーのベースと同じような感じですね。ここからチキンを入れて煮込めばチキンカレーにもなります。(バラッツ、料理教室の実況より)

この型の旨味担当がヒングです。硫黄のような独特の香りが油で熱すると玉ねぎやにんにくを炒めたような香りに変わる樹脂で、玉ねぎやにんにくを使わない西インドの人々が多用してきました。油にヒングと塩だけで、もやしやキャベツを炒める。スパイス感はないのに旨味だけが増した野菜炒めになる、というのがバラッツの勧める使い方です。詳しくはヒングの図鑑へ。

南の型はポリヤル。油大さじ2にマスタードシードと赤唐辛子を入れ、パチパチしたらいったん火を弱めるか消して、ココナッツファイン大さじ3〜5とターメリック小さじ1/2、塩小さじ1/2を油に絡めます。ここからが南の核心です。

ここを少し炒ってあげるというのが大事です。あんまり急いで次を入れるより、すぐ色は変わってしまいますが、ちょっとほんのり茶色くなって、ココナッツの香ばしさが出てきたら次の食材を入れます。あんまり急ぐとココナッツファインの独特のえぐみが残ってしまいます。(バラッツ、料理教室の実況より)

ココナッツがほんのり色づいたら、火の通ったかぼちゃやキャベツを加えて「炒めるというより和える」。焦げそうなら水を50〜100cc。ウラドダールを一緒に弾かせて香ばしさを足すのも南のやり方で、教科書はキャベツのポリヤルです。じゃがいも一つでも、北ならアルゴビ、南ならマスタードシードとカレーリーフのマサラポテト。同じ野菜がスパイスの型で別の料理になります。

野菜の下ごしらえ — 茹でておくか、炒め飛ばすか

サブジの時間を決めるのは野菜の火の通りです。料理教室のやり方は野菜で決まっています。

  • じゃがいも・カリフラワー・里芋・かぼちゃ……先に一口大に切って茹でておく。塩は入れない(味付けは後)。じゃがいもを先に入れ、火が入り始めたらカリフラワーを追加。「芯が残っているよりは、ここでしっかりと食べられる好みの硬さまで」が合図で、当日はスパイスをまとわせるだけになります。
  • 里芋のぬめり……切ってから茹でる(茹でてから切るとぬめって切りにくい)。インドでは茹でずに、粘り気がなくなるまでひたすら炒め飛ばす作り方もありますが、バラッツいわく「大変です」。
  • キャベツ・オクラ・レンコン……生から炒める。レンコンは輪切りにしてフェヌグリークとターメリックで炒め、仕上げにカスリメティ。オクラは火を入れすぎず、ささっと。
  • 代用は自由……カリフラワーが無ければブロッコリー、ピーマン、パプリカ、いんげん、大根、人参、あるいはじゃがいもを増やしてじゃがいもだけでも。カレーリーフだけは代用せず「なければ無しで」。

1つ知ると5を知るような感じになりますので、3個知ると15を知るような感じになるのではないかなと勝手に思っております。(バラッツ、料理教室の実況より)

里芋の型(アジョワン、玉ねぎトマト、チャットマサラ)は長芋・こんにゃく・人参、さらにサンマや鶏肉にもそのまま使えます。野菜を茹でるか炒めるかの見極めは見極めサイン辞書、工程の順番の考え方はカレー一皿の工程地図にもまとまっています。

レシピ全24品 — 母の味から、南のポリヤルまで

アナンのサブジとその仲間は24品。材料表を数えるとターメリック15品・マスタードシード11品が上位で、ココナッツファインの7品はすべて南のポリヤルです。作り方の型で4つの棚に分けました。

まずは定番 — グジャラートの家庭の型

油にマスタードシード、野菜、ターメリックと塩、蓋。バラッツの母が作っていた型で、玉ねぎもトマトも使いません。

北の王道 — 玉ねぎとトマトで組む型

クミンホールで始めて玉ねぎ、にんにく生姜、トマト。カレーと同じ土台に、下茹でした野菜を合わせます。

南のポリヤル — ココナッツで仕上げる型

マスタードシードと赤唐辛子で始めて、ココナッツファインを炒って野菜と和える。時間が経つと風味が落ちるので、作りたてで。

日本の野菜と、カレーブックで

ごぼう、ゴーヤ、サツマイモ。日本の野菜も同じ型で作れます。

材料の設計図 — 24品の材料表を数えてみた

24品で実際に使われている材料を数えると、サブジの骨格が見えます。スパイスはターメリック15品が土台で、香りの起点はマスタードシード11品とクミンホール7品の二本立て。レッドペッパー10品、コリアンダー9品が続きます。ベースは北の型のトマト9品・玉ねぎ7品に対し、南の顔のココナッツファインが7品・カレーリーフが4品。ヒングは6品、アジョワンとチャットマサラは3品ずつで、この二つは必ず同じレシピに出てきます。仕上げの酸味はレモン8品。ヨーグルトは3品、ガラムマサラは0品です。カレーは作れるが、サブジには使わない。それが実数の答えです。

サブジの物語 — 母の台所と、サブジの会

バラッツの家の食卓には、味噌汁もあれば、サブジもありました。母が作っていたのは、レンコンをヨーグルトとスパイスで炒めたもの、オクラとトマトをクミンとコリアンダーで炒めたもの、キャベツの炒め物。どれも西インド・グジャラートの家庭料理で、アナンのレシピ本に載せた野菜のスパイス副菜のほとんどは、母の味です。マスタードシードが弾けるポップコーンのような香りは、バラッツの中では昔から食べていた大根のサブジと重なっています。

その延長が、鎌倉の店で続けている「サブジの会」です。毎月どこかの農家に頼んで、その時に採れた野菜を一箱送ってもらう。何が入っているかは開けるまで分からず、その場でレシピが生まれて、1時間半から2時間で10品から15品。2022年の秋に始めて、いまでは40回を超えています。日本の四季とインドのスパイスの掛け算で、レシピはいくらでも増える、というのが会の結論です。西インドの家庭料理の背景はグジャラート・西インドの食、副菜のスパイスの横展開は副菜のスパイス使いで読めます。

このシリーズの完全ガイド: ビリヤニキーマカレーチャイアチャールタンドリーチキンバターチキンダールラッサムもどうぞ。

よくある質問

Q.サブジとはどんな料理?
A.インドの言葉で「野菜」のことで、野菜をスパイスで炒めた料理もサブジと呼びます。油でホールスパイスの香りを起こし、野菜を入れて塩とターメリック、蓋をして蒸し焼きにするのが基本形。家庭ごと、地域ごとに味が違う、インドのお惣菜です。
Q.サブジとポリヤルの違いは?
A.どちらも野菜のスパイス炒めで、北インドの呼び名がサブジ、南インドのタミル語ではポリヤルです。南ではマスタードシードで始めてココナッツファインを炒って和えるので、味は別物になります。アナンのレシピもこの二系統で分けています。
Q.サブジはカレーですか?
A.汁気が多くなってカレーに見えても、野菜が主役ならサブジです。ただしアルゴビの土台は玉ねぎ、トマト、パウダースパイスで、そこからチキンを入れて煮込めばチキンカレーになります。同じ技術の、汁のない側がサブジです。
Q.スパイスは何種類あれば作れますか?
A.マスタードシード(またはクミンホール)とターメリック、塩があれば基本のサブジは作れます。24品の材料表を数えても、ターメリック15品、マスタードシード11品、レッドペッパー10品が上位で、ガラムマサラは0品です。辛くしたくなければレッドペッパーを減らすだけで済みます。
Q.ホールスパイスはいつ次に進めばいい?
A.マスタードシードはポップコーンのような香ばしい香りとともにパチパチ弾けたら、クミンはシュワシュワと泡が立って香りが出たら次へ。弾ける前に野菜を入れると香りが立ちません。ポリヤルでは弾けたあと油が熱くなりすぎているので、いったん火を弱めてからココナッツを入れます。
Q.ポリヤルがえぐくなります。
A.ココナッツファインを急いで次に進めると独特のえぐみが残ります。油に絡めたら弱火で少し炒り、ほんのり茶色くなって香ばしい香りが出てから野菜を入れてください。焦げそうなら水を50〜100cc足します。
Q.味がぼんやりします。
A.スパイスは香りであって味ではないので、味は塩で作ります。アルゴビならパウダースパイスと同時に塩小さじ1、キャベツのサブジなら小さじ1、ポリヤルなら小さじ1/2が料理教室の実数。仕上げにレモンを絞ると輪郭が出ます。
Q.どんな野菜でも作れますか?
A.キャベツ、じゃがいも、オクラ、大根、里芋、レンコン、ごぼう、ブロッコリーまで、アナンのレシピだけで20種以上の野菜があります。じゃがいもや里芋、かぼちゃなど固い野菜は下茹でしてから、キャベツやオクラは生から炒めるのが目安。カリフラワーが無ければブロッコリーやピーマン、じゃがいもだけでも作れます。
Q.サブジに合う献立や、余ったときの使い道は?
A.チャパティとサブジ、そのあとにダール(豆カレー)とご飯、というのがバラッツが西インドで暮らした頃の毎日の順番です。日本のカレーの横に一品添えるだけでも食卓が変わります。余ったサブジは弁当のおかずや、サモサの具にも使えます。

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